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変わらぬ定番を追い求めること

2019.12.14

ビール 日々の出来事

 

昨日、ビール業界のベテランとの対話で、深く考えさせられる点がありました。その方は元大手メーカー勤務で、業界の細かな事情に精通しており、私たちの議論はすぐに定番品の維持の重要性へと及びました。

大手四社は、品質を一定に保つために莫大な知識、技術、そして高価な機材を駆使しています。それに対して、マイクロブルワリーの規模では太刀打ちできないのが現実です。ただし、クラフトビールにおいて品質劣化やオフフレーバーが発生しても、それが独特の味わいとして受け入れられることがありますので、その限りではないかもしれません。これはある意味よくある話です。

さて、日本では、400社を超えるマイクロブルワリーが存在し、多様なクラフトビールが生み出されています。スタイルや製法はもはや二の次で、新しいビールを次々と生み出すブルワリーも珍しくありません。同じスタイルのビールでも、ver.1、2,3…とバージョンを重ねることで変化を楽しむのが最近のトレンドです。

しかし、そのベテランは指摘します。一つのビール名でバージョンが変わるということは、実質的に同じビールを作る意図がないことを意味するかもしれない、と。一つの商品名で一貫して同じビールを作り続けることには、そのプロセスを通じてノウハウが蓄積され、品質維持への責任が伴うと言います。

概して、多くのクラフトビール愛好家は、バージョンの変化を進化と捉え、新しい限定品を待ちわびます。

しかし、一般的に私たちが普段お酒を楽しむ際の行動を考えてみましょう。家で缶のプレミアムモルツを開ける時、その一貫した味わいがあるからこそ選び続けるのです。同様に、黒霧島、久保田、黒龍、ラフロイグ、森伊蔵など、特定の銘柄が好きで飲み続けるのも、その変わらない味わいに対する信頼からです。こうした一貫性が、多くの酒好きにとっての魅力となっています。ここでは、進化や変化を求めるよりも、安定した品質と味わいを楽しむことが重視されるのではないでしょうか。

この視点から、私は自店で提供するクラフトビールや点心について考えを巡らせました。期間限定品や新しい味わいを求めることも大切ですが、同じくらいに、定番品を大切にし、その品質を長期にわたって維持することの意義も見直すべき時が来ているかもしれません。定番品を通じて、ブルワリーや飲食店の努力とノウハウが蓄積され、お客様に一貫した品質を提供し続けることは、それ自体がロマンとも言える大切な価値です。

特に、私たちの店で提供する点心、手打点心ちのもちもち焼き餃子などに関しては、これまで通り定番品としてその品質を保ち続けます。時にはレシピを少しずつ進化させることもあるかもしれませんが、その基本的な味わいと品質に変わりはありません。お客様に安心してお楽しみいただけるよう、これからも努力を続けてまいります。

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